「0→1からブラッシュアップまで」低コストで確実にいいものを

ProttインタビューVol.2 アドウェイズ様

Jun Saso-07 / 22 / 2015-Interview

株式会社アドウェイズ
アドウェイズ新規領域担当執行役員 アドウェイズ・ベンチャーズ取締役 山田 翔 さん
開発グループ システムユニット プロダクトディレクター 米元 智さん
開発グループ R&Dユニット 上田 奈緒美さん
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Prott導入の鍵は、「すぐに」「誰でも」

—— アドウェイズさんは、今年の1月からエンタープライズ版をご使用くださっているんですよね。そもそもの導入の背景を教えていただけますか?

米元 たしか、去年の5月ごろに社内でプロトタイピングツールの導入が検討され始めたんです。それまではプロトタイプは基本的にKeynoteで制作していました。ただ、それだと見た目はそれなりに綺麗にまとめられても、どうしても画面遷移で漏れがあったり、Windowsユーザーと共有するときに形式を変える手間がかかったりしていました。

—— ああ、PDFにしなければいけなかったり、面倒ですよね。

米元 ええ。ちょうどそのころ、土屋さん(グッドパッチ代表)にProttを紹介していただいて。Prott正式リリースの前でしたし、お試しの気持ちで使ってみたのがきっかけです。

—— ほかのプロトタイピングツールは検討しなかったのですか?

米元 「Flinto」をはじめ、他のツールもチェックはしましたが、いかんせん海外の製品ばかりで。比較にしても導入にしても、コストがかかると感じたんです。英語のマニュアルを参照するとなると、時間も手間もかかりますからね。

—— まだ、プロトタイピング文化は日本に根付いているとは言えませんからね……。

米元 そうなんですよね。ひとりひとりに説明しなくても自然と馴染むようなツールがいいな、と考えていた中で、Prottは圧倒的に秀でていました。当時は機能も多くなかったので必然的にシンプルなつくりだったこともありますが(笑)、いかんせん、直感的な操作性に優れていました。試しに導入してみると、瞬く間に社内に馴染んでいきましたね。「すぐに導入できて、誰でも使える」。これがポイントだったと思います。

—— ありがとうございます!

新規事業のフィードバックには欠かせない存在に

—— アドウェイズさんでは主に新規事業の開発に使ってくださっているということですが、具体的なプロセスを教えてください。

山田 実際の新規事業立ち上げのシーンで、上長である僕がレビューするときに特に活用しています。少し背景をお話すると、4月から僕がすべての新規事業を見る体制になり、毎週火曜日に30分ずつフィードバックする時間を設けることになったんですね。ところが、プロジェクトごとに使用しているツールがばらばらのため、チェック効率が悪かったんです。

—— ばらばら、というと?

山田 そもそも新規事業をきちんと体系立てて始めたのは、昨年の春からです。それまでは、各々がゲリラ的に新規事業を立ち上げる形だったので。その文化が残っていて、あるプロジェクトはエクセルで持ってくる、あるプロジェクトはパワーポイントで持ってくる、という感じでした。

—— うわあ、それは大変ですね。

山田 それで、その30分を有効に活用するためには、どうしてもフローを画一化する必要があり、思い切って導入に踏み切りました。

—— 実際導入してみて、いかがでしたか?

山田 実際に使ってみると、まずは当初の目論見どおり、非効率だったチェックがスムーズに行えるようになりました。でも、得られた効能はそれだけではありません。ある程度コンテンツが入り込んだ状態を見ることができるため、ユーザーがどういうサービスに触れることになるのか、どういうUIになるのかのイメージが具体的に湧くようになったんです。だから、基本的にはアプリで見るようにして、よりユーザーに近い視点でフィードバックするようにしています。

—— なるほど。ユーザーが何を体験するかわかった上で次に進めるようになった、ということですか?

山田 ええ。「GO」が出しやすくなったことで、開発スピードも上がったと思います。さらに、僕とメンバーのコミュニケーションに齟齬がなくなったのは大きいですね。実際に動く画面を見て話せるので、「ここはわかりづらいよね」といった認識のすり合わせがしやすいんです。それに、Prottは実装したアプリとは違い、微修正のコストも低いでしょう。

—— エンジニアを挟まなくても改善できますからね。

山田 はい、ブラッシュアップが圧倒的にしやすくなりました。「ちょっとこのボタンをこうしてみよう」と気軽に試せて、「やっぱりこっちがいいね」「さっきの形に戻そう」と、自分で体験して判断できる。お互い納得したうえで先に進めるんです。Prott導入以前は、「えいやっ」で実装して「やっぱり違いました」と手戻りしていたのですが(笑)、今ではそういう無駄なプロセスを経ずに済んでいます。


(↑実際のProttの画面)

—— 手戻りロスが減った、というのはお客様からよく言われます。

山田 僕が嬉しいのは、メンバーが新しいツールを使うことで、モチベーション高く開発できていることです。なにより、楽しそうですしね。実際にProttを使用して世に出たプロダクトもありますし、導入してよかったです。

米元 今まで、実装するまでは自分たちの想像力で補わなければいけないところが多かったんです。頭の中で「こうかもしれない、ああかもしれない」と悩む時間がけっこうあって。それが、Prottで実際の動きを見て触って考えられようになったことで、よりプロダクトに集中できるようになりましたね。

事業開発の現場から勉強会まで、使い方は自由自在

—— 他には、どのような使い方をされていますか?

米元 以前は、僕と上田で画面設計の大枠を決めて、そのままエンジニアに仕様書を渡していました。それが、今はエンジニアに共有する前に手書きデザインを起こしたものをProttに入れ、社内の人に触ってもらうフェーズを加えたんです。

—— チームメンバーではない人に?

米元 はい。プロジェクトに入っていない人に触ってもらって、スムーズにいくようだったら実装する。引っかかるところは直す。すると、実際に触ってもらうとスムーズにいかないことが多くて。いろいろな人からフィードバックを受けるごとに、「こうやったらユーザーは使いやすくなるだろう」と知らず知らずに抱いていた作り手の思い込みを格段に減らせるようになりました。

—— ユーザーテストについて、もう少し詳しく教えてください。

米元 それまでのユーザーテストは、とにかく時間も手間もかかるものでした。テストをするにしても、アプリが動く状態までコーディングしないといけない。いざテストをして反応が悪かったら、もう一度デザインからやり直し。そしてまたコーディング……と、どうしても修正のスパンが長くなってしまいました。

山田 ところが、Prottを使えば驚くほど気軽にユーザーテストができる。Prottが入っているiPhoneを片手に社内の誰かをつかまえれば、立派なユーザーテストが行えるんですから。

米元 そこで意見を集約して修正を重ねていけば、コーディング前に完成度を上げることができる、というわけです。

山田 本物のiPhoneで見せられるから、本当にいちユーザーの感覚で触ってもらえるからいいですよね。余談ですが、弊社は営業職の人間も多く、いわゆるギークな人ばかりではありません。廊下を歩いている新入社員の反応が、一般ユーザーの反応と限りなく近いんです。そういう意味で、Prottを活用しやすい環境と言えるかもしれませんね。

米元 いま取り組んでいるサービスも、プロトタイプの段階でとにかくユーザーテストをして、いまいち反応が悪い部分はその日の午後に修正するようにしています。短時間でいろいろ試せないか、改善できないか、という意識を持つようになったのも、Prottのおかげです。

—— デザイナーのみなさんは、Prottをどのように活用されていますか?

上田 デザイナー同士の共有ツールとして活用しています。そうすることで、他のチームのデザイナーに相談することも、フィードバックをもらうこともより簡単になりました。

米元 上田がほかのデザイナーからもらってきたフィードバックをチームで共有してくれることで、「第三者からの品質管理」の役割も担うようになっていますね。

上田 いろいろな人を巻き込んでプロダクトの改善ができるようになりましたね。デザイナーならではの使用方法としてはもうひとつ、勉強会があります。

—— 勉強会、ですか?

上田 デザイナーは普段、プロジェクトごとにそれぞれ分かれて活動しています。そこで、会社としてデザインの考え方やフローを共有するために、勉強会ではテーマをつくって仮想プロジェクトをつくっているんです。新しい仮想プロジェクトを立ち上げるときに簡単なプロトタイプをつくって見ていくのですが、Prottを使えばすぐに遷移が確認でき、その場で修正できる。非常に重宝していますね。

—— なるほど、勉強会のなかでもプロジェクトを立ち上げているわけですね。0→1にもブラッシュアップにも使っていただき、うれしいです。

コストを減らすために広く活用を!

—— それでは、最後にProttにメッセージをお願いします!

山田 ちょうど社内でも、プロトタイピングについての勉強会を開こうとしていて、これからさらに盛り上がっていくところだと思います。いまはまだ新規事業の立ち上げでしか活用できていませんが、既存事業でもコスト削減に使う余地はまだまだあると思います。ぜひ、会社全体に広めていきたいですね。開発においてメインで使っているツールなので、どんどん改善していって欲しいと思います。期待しています!

—— がんばります! ありがとうございました。