なめらかな予約体験を実現!プロトタイピングで変える一休のユーザー体験とは

Prott インタビュー Vol.21

Tim prott author

Tim Prott-11 / 13 / 2017-Interview

株式会社一休様は、「こころに贅沢させよう」をモットーに8つのサービスを運営しています。その中でも、レストラン予約サービス『一休.comレストラン』のアプリにおいては、開発の初期段階からファーストローンチまで、共同開発という形でGoodpatchが携わらせていただきました。

今回はプロジェクト立ち上げの背景から、Webサービスをアプリに落とし込んだプロセス、そしてProttのご活用方法について開発チームの3名にお話を伺ってきました。

お話を伺った人:
レストラン事業本部 デザイン部 デザイナー
匂坂 徹さん

レストラン事業本部 開発部 エンジニア
浅野 慧さん

レストラン事業本部 開発部 ディレクター
土田 はるかさん

共同開発でプロセスを回し、体験をデザインする

──本日はよろしくお願いします。まずは、『一休.comレストラン』について教えてください。

浅野 レストラン予約サービスです。特徴としては、“良いレストラン”をお得に、オンラインで予約まで完結できるという点が挙げられます。

“良いレストラン”とは高級というわけではなく、少しだけリッチなレストランを想定しています。価格帯でいうと4,000円〜くらいの飲食店イメージ。日常から、ちょっとしたハレの日に使っていただくことを想定しています。

白を基調としてリッチ感も演出されている、シンプルなUI(2017年10月現在)

一休.comレストランの情報はユーザーが投稿していくものではなく、弊社のメンバーが現場まで足を運んで検討した上で選定しているため、良いレストランのみからお選びいただけるようになっています。

──プロジェクト立ち上げの経緯について教えてください。

匂坂 元々はWebしかない状態で、社内のエンジニア数名からの発案で、アプリを開発しようという意見が寄せられたことがきっかけだったと聞いています。その後、エンジニアの1人が中心となってプロジェクトが立ち上がりました。私自身はプロジェクトが立ち上がった約半月後に、デザイナーとしてプロジェクトに入りました。

一休.comレストラン

「アプリ開発をしよう」と動き始めたはいいものの、我々のチームにはアプリ開発のノウハウが無かったんですよ。当時はUI会社が多くなかったのですが、たまたま弊社のエンジニアがGoodpatchの代表である土屋さんと知り合いだったんです。

その際に、全てお任せする、というわけではなく一緒にプロジェクトを進めながら自社内にもノウハウを取り入れたいと考えており、アプリローンチまでGoodpatchさんと共同開発する運びとなりました。

──共同開発について詳しく伺ってもよろしいでしょうか?

匂坂 Webとして存在していた一休レストランのアプリ開発を行う上で、“アプリならではの価値”を出せるようにする点で、特に協力いただきました。スムーズに予約できるようにするため、画面遷移を減らしたり情報を探しやすくしたりと、体験の設計もアプリならではのなめらかさを組み込みましたね。

ユーザーがどのようなシチュエーションで体験するのか、カスタマージャーニーを引いたりすることで、ユーザー定義について力を入れておこないました。

具体的に改善したところでいえば、会員登録なしの予約機能です。これまでは、必ず登録をしてもらったあとに予約する流れでしたが、アプリでは登録せずとも電話番号を入れて送られてくるPINコードを入力するだけで予約できるようにしたのです(現在はAndroidのみの機能)。

Webでは考えづらい“登録せずに予約できる”という概念を知ったときは、衝撃でしたね。ですので、アプリでは簡単に予約してもらうことをコンセプトに開発を進めました。

また、単純な見易さも意識しており、ファーストビューで写真を見てもらう設計にしていますし、商材のリッチ感を損なわないようにテイストを揃えることも大事にしています。

浅野 共同開発終了後の話にはなりますが、アプリで改善したポイントをWebにも反映し、改善を続けています。体験をシンプルにするという観点はWebでは意識しきれていなかったところでもあったので。

──チーム内での改善プロセスが回っているのですね。

Prottが定着した理由

──共同開発を始めてからProttをお使いいただいていると思うのですが、どのような用途でお使いいただいていらっしゃいますか?

匂坂 Prottの立ち位置としては、チーム内でのUI・仕様の確認や、エンジニアに対しての画面仕様書として使っています。メインで使っているのはデザイナーで、UI自体や、仕様変更した際の導線の確認などを、周囲のメンバーを巻き込んでフィードバックしてもらっています。実際に触ってみてわかるフィードバックに関しては、Prottを使うと議論しやすいんです。

──Prottを使いつづけていただいている理由はどのようなものでしょうか?

匂坂 やはり、日本語での対応があることは心理的障壁を乗り越えられる要因だと考えています。プロトタイピングツールは海外製が多いですから。

そして、学習コストがとても低いとも感じています。新しくチームに入った人へのわかりやすさは、チームで使うツールとして大切なのではないかと感じています。

土田 同じく、初心者でもさわれることですね。デザインの勉強をしたことがない状態でワイヤーフレームを描く際に使ってみたところ、無理なく使えたんです。

──エンジニア出身の方だと、たまに「自分でコードを書いた方が早い」という方もいらっしゃるかと思います。

浅野 自分でコード書いて作ってしまうと、捨てにくくなるんです。Prottのようなプロトタイピングツールだったりペーパープロトタイプの場合は、作ったものを簡単に捨てられるので、アイデア出しのサイクルを回しやすいです。一方コードを書いてしまうとプログラマーとしての執着心が出てしまい、捨てられなくなってしまいます。。捨てられなくなってしまうと、プロトタイピングという概念がなくなってしまいますよね。

また、コードを理解できない他のメンバーでも簡単に参加できるプロトタイプは、周りの人を巻き込みやすいです。

──UIを作ったり改善したりする際には、Prottで作ったものをデザイナーに共有してから制作する、という流れになっているのでしょうか?

匂坂 案件によって変わるのですが、Prottを使って認識を合わせる時や紙に描いて見せる時、また口頭で伝える時などがあります。信頼関係の上、ですね(笑)。

土田 自分で作ることはせずに、サンプルになる他のサービスの画面を見せて伝えるときもあります。

──浅野さんは、以前他のプロトタイピングツールを使われていたと伺いましたが、それらと比べてProttが違う点はありますか?

浅野 正直、エンジニアとしては見られればいいかなと思う節があるので、大きな差があるとは思えませんでした。ただ、Prottの場合だと、プロトタイプにコメントが付いて更新があった時に通知が来ますよね。メンバーが議論に参加している様子を見られるので、コミュニケーションに比重が置かれたサービスなんだなと感じています。

アプリでしかできない体験をデザインする

──チーム内・社内での開発サイクルはどのように回していらっしゃるのでしょうか?

匂坂 ロードマップを引いて大枠はそれに沿って進めていますが、かっちり決めきっているわけではありません。経営層や現場からの直接のフィードバックをもらって、方向修正が入り込むイメージです。なので、ベースとしてはロードマップに沿いつつ、フレキシブルに対応していますね。

──一休.comレストランさんの今後の展望について、教えていただけますか?

匂坂 アプリでしかできない施策を打っていきたいと考えています。今後実装したいと考えているのはマーケティング施策です。例えば、改善する中でお知らせ画面ができたんです。これまでは予約に関する情報が流れるだけだったのですが、今後はアプリ内マーケティングも進めていこうと考えています。

──ありがとうございます。では最後に、メッセージをお願いします!

浅野 弊社は長年、Webサービスの提供をおこなってきており、Web検索によって認知・ご利用いただいているパターンが依然として多いので、Webの売上のほうが高いのが事実です。しかし、アプリはラグジュアリな体験を届けるのに最適であるという信念があるので、今後もアプリを太いチャネルとして育てていきたいと考えています。

現状、アプリも伸びている拡大フェーズですので、トライを重ねアプリの利用を推進していき、よりよい体験価値を提供していけたらと思っています。

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Webサービスをアプリに落とし込む難しさがひしひしと伝わりました。一方で、アプリならではの体験、そして今後行っていきたい施策がアプリでないと難しい施策とのことでした。ユーザーの体験がWebとアプリでどう差異を出せるのか、アプリならではを生み出すために、フィードバックを集め検証を重ねているんですね。
新しい体験を生み出すだけでなく、既存の染み付いた体験をどう変えるか、そのためにもプロトタイピングはとても大切なことが分かりました。プロトタイピングを活用して、体験を新しいものにしていきたいですね。