Prottは企画と開発の共通言語。au WALLETが挑むプロセス変革 - KDDI

Prottインタビュー Vol.15

Tim prott author

Tim Prott-03 / 13 / 2017-Interview

2017年1月に取材させていただいた記事です。

KDDI株式会社
金融・コマース推進本部 au WALLET推進部 プラットフォーム企画グループリーダー
湯山正樹さん

KDDI株式会社
バリュー事業企画本部 コンテンツビジネス部 マネージャー
吉田州太郎さん

KDDI株式会社
バリュー事業企画本部 コンテンツビジネス部 課長補佐
柳井成博さん

KDDI株式会社
新規ビジネス推進本部 アプリUX推進部 主任
石川洋平さん

KDDIでは「au WALLET」を中心に、様々なアプリのUXデザインの確認にProttをご活用いただいています。今回はProttを導入したきっかけ、また具体的な使用感を伺ってきました。

なぜ、Prottを導入しようと思ったのか?

——最初に、みなさんの職種と仕事内容について教えてください。

湯山 au WALLETプリペイドカードへのチャージ、決済履歴やポイント残高の確認ができるau WALLETアプリを手がける部署にいます。自分は主に企画を担当するチームに属しており、吉田や柳井が開発のチームにいるといった感じです。

吉田 湯山から説明があった通り、au WALLETアプリの開発を手がけるチームにいます。それ以外にデータサポートアプリや社内用のアプリも開発しています。

柳井 自分もau WALLETアプリの開発者として、吉田と同じようなことをやっています。

——ちなみに3つのアプリの中でProttを使われたのは?

吉田 au WALLETアプリですね。残り2つのサービスは改修頻度も少なく、Prott導入前に開発していたものだったので……。

——そうだったんですね、ありがとうございます。石川さんはどのような業務を担当されてますか?

石川 自分は2016年4月に新しくできた「アプリUX推進部」という部署に属しています。au WALLETアプリはもちろんのこと、auサービスTOPアプリ、うたパスなど“キャリア系”サービスのUI/UXのチェックを主にやっています。あとは各サービスのユーザビリティテストや専門家を呼んだエキスパートレビューの実施、他には何でも屋としてUXに関する相談を受けることもありますね。

——Prottの導入に関するご連絡は柳井さんから頂いたと記憶しているのですが、Prottを知ったきっかけを教えていただけますか?

柳井 自分がいちユーザーとしてProttを一番最初に触ったのは、前職で働いていたときです。当時、プライベートの時間を使ってアプリの開発をやっていて、アイデアを素早く形にできるのがいいなと思ってProttを使いました。確か…まだProttが登場した頃だったと思います。

その後、KDDIに転職したら、上司から「企画とエンジニアのハブになってくれる人材が社内にいないから、何かハブになるようなツールは知らないか?」と聞かれたんです。それからいろんなプロトタイピングツールを調べ、内容をまとめた資料を上司に提出し、さまざまな観点からツールを比較して検討しました。結果、Prottを導入することになりました。

——導入の決め手となったポイントはどこでしょうか?

柳井 日本語に対応しているなど導入のハードルが低く、一番使いやすそうだったからです。自分がかろうじて使えるくらいではダメで、社内のメンバーが全員問題なく使えるくらいのツールを求めていたので、そういう意味でProttは理想的なツールでした。

——実際に導入されてから、湯山さんや吉田さんはすぐに使い始めましたか?

湯山 そうですね。柳井から紹介もあったのですが、吉田・柳井の上司から「このツールを社内に広めていきたいから、まずau WALLETアプリで先行して使ってみようよ」と言われ、使い始めました。

——実際に使ってみて、どうでしたか?

湯山 最初は「本当に大丈夫かな?」と疑心暗鬼だったのですが、実際に使ってみて、学習コストが全然かからなかったのは非常に良かったなと思います。新しいツールを導入すると、どうしても慣れるまでに時間がかかってしまうのですが、Prottはそれが全然なかったですね。

——Prott導入前はどのようなツールを使っていたのでしょうか?

湯山 Prott導入まではExcelやPowerPointなど、いわゆるオフラインツールをメインに使っていました。PowerPointを使うのが当たり前になっていたんですよ。誰もその状態をおかしいと思わず、抜け出そうとしなかった。

石川 テンプレートに安心する、といった感じです(笑)。

Prottの導入によって起こった社内の変化

——その後、au WALLETアプリのプロジェクトでProttを使われたと思うのですが、どんな効果がありましたか?

湯山 自分は企画で、吉田と柳井は開発なのですが、企画と開発ってどこか相対するようなところがあって……。企画は企画で何パターンも試したい、色々と挑戦してみたいし、試行錯誤したい。一方で開発は完璧なもの、高品質なものをユーザーに届けたい。

Prottを導入する前は「いくつかデザイン案を見たいから、数パターン作ってよ」と依頼し、開発側から「数パターンも作るのは嫌だ。先に決めてくれ」というやりとりがありました。ただProttを導入してから、企画側で試行錯誤し、その結果を開発側に依頼できるようになり、デザインプロセスが変わってきたかなと思います。

「企画→デザイン→実装→レビュー」がこれまでのプロセスとするならば、現在は「企画→デザイン→レビュー→実装」になりました。非常に手戻りが少なくなった。

吉田 Prottを導入する前は実装して確認することが多かったのですが、今はほとんどないですね。企画側でこだわったものがあがってくるので、お互いイメージしたものが出来上がっていると思います。

湯山 au WALLETゴールドカードが出たときに、「アプリの背景色をゴールドにしたい」という要望を出したことがあるんですよ。もしProttがあれば数パターン作って、実機で確かめたものを依頼できたんですけど、当時は何パターンも作ってもらって……。

柳井 やっぱり仕様書に書きづらい要望ってあるんですよ。例えばタップする領域って文字にしづらいのですが、Prottがあればすぐに分かる。

——Prottを使うことで企画と開発のコミュニケーションが円滑になったかと思うのですが、他のチームや社外の人に共有する機会もあるんでしょうか?

湯山 そうですね。au WALLETに関しては自分たちの部署だけでなく、飯田橋の本社にも関係する部署があるんです。これまでは実機を見せるのがなかなか難しかったのですが、ProttのプレゼンモードのURLを共有するだけで確認してもらえるようになりました。

石川 最近だと企画の内容もProttで提出してもらうこともあるんですよ。例えば、新規アプリの開発について相談を受けた際、まずはコンセプトをProttで形にしてもらう。そうすることでコンセプトと実現しようとしているデザインが合っているか、を確認できるんです。

——ということは、今まではPowerPointで確認していたものを全てProttに入れてしまうと。

石川 そういうことです。URLさえ知っていれば、みんな見に行けるので。場合によっては外出先からスマートフォンでコメントすることもできる。

エキスパートレビューにもProttを使用

——冒頭でエキスパートレビューを行っているとお仰いしましたが、具体的にどのように行っているのでしょうか?

石川 基本的には外部のパートナーと一緒にやっています。そこに関しても必ずコンセプトとサービスの内容、KPIの情報を事前に共有してもらい、専門家と共にその内容をチェックし、エキスパートレビューをかけてもらうといった感じです。

——フィードバックの結果が出たときに、au WALLETの企画側に持ち帰って、もう一度プロセスを回すことはありますか?

石川 最近、Prottを使ってやりましたね。最初の準備もProttでやってもらい、その内容を自分たちの部署と外部のパートナーで確認した後、内容をフィードバックして再度検討してもらいました。

——フィードバックによって改善された、具体的な事例はありますか?

湯山 au WALLETアプリには、プリペイドカードの残高確認やチャージする機能とクレジットの請求額を確認するか機能があるのですが、2016年12月に通信料と合算してデジタルコンテンツの購入やショッピングができる「auかんたん決済」に関する情報を確認できる機能を追加しまして、そこで石川のチームと連携してUIのレビューを3、4回させてもらったんです。

実際に自分たちが作成したデザインのラフ案をProttに入れて、石川をはじめとしたチームメンバーに実機で確認してもらうことでPowerPointでは分かりづらかった画面のビジーさに気づけましたし、その後のユーザー調査で機能の追加も行いました。

事前説明なしでユーザーに画面を見せてみたら、ユーザーは表示された金額をタップするケースが散見されたので金額をタップして明細を確認できる導線を新たに追加したり、「この画面が何か分からない……」という声をいただいたのでヘルプページを設けたりしました。

——そのユーザーテストは実装したものとPrott、どちらでテストされていたのでしょうか?

湯山 今回は実装したものでやりました。ただ振り返ってみればProttでも出来たなと思いますし、Prottでやっておけばテストが早くできたんじゃないかな、と。

石川 自分たちが手がけているサービスは締め切りが決められているので、Prottでデザインプロセスをなるべく短縮できるのが良いなと思います。

——逆に開発側から見て、Prottを導入した効果は何かありましたか?

吉田 先ほどお伝えした色味などの細かい調整が減ったのは大きいですね。Prottですでに確認が終わっているので、とても効率よく開発ができるようになりました。

施策の中でProttを半強制的に使ってもらうことで社内に普及

——大企業でProttを普及させていくことはそう簡単ではないと思うのですが、御社はどのように普及させていったのでしょうか?

柳井 何か成功事例を作って広めたかったんですけど、思ったように広まっていかなかったですね(笑)。最近、少しずつ要望があがってくるようになったのですが、それはUX推進部が相談会などで半ば強制的にProttを使うようにしているからかもしれないですね。

石川 PowerPointと同じくらい簡単でスマホと連携でき、コメントもできる。この特徴を近しい企画のメンバーに自分がやって見せることで、まずは興味を持ってもらえるようにしたんです。

あとは、今後相談をする際は最初にProttでモノを送るようにしてくださいと言って、半ば強制的に使ってもらうようにしましたね。それから少しずつ使う人が増えてきて、そこからは自然と「あの部署も使ってるの?」という感じで増えていきました。

今後、カスタマーサポートセンターにも事前に実機で変更した箇所を伝えられるようになったらいいな、と思います。

——最後にProttへのメッセージがありましたら、お願いします!

吉田 まだまだ活用しきれていない部分があるので、もっと多くの人に使ってもらえるように努力していきたいと思います。いつもありがとうございます。

柳井 Prottの機能をフルで使える社内のセキュリティー環境を整備していきたいですね。あとは、まだ画面遷移図を作れない人もいるので、ベースアップを目的としたセミナーを開催できたら、と思っています。

石川 Prottは大きな会社のコミュニケーションのあり方を変えてくれたと思っているんです。まだプロトタイピングが浸透していない会社に広まり、コミュニケーションのあり方を変えていってくれることを期待しています。

湯山 Prottは企画職の幅を広げてくれるツールだと思っています。これまでワイヤーフレームを書いていた企画職が、頭の中にあるものをデザインに起こせるようになった。すごく画期的なサービスだと思うので、シンプルさを追求しながら広まってくれたらと思っています。

——KDDIの皆様、ありがとうございました!いただいたフィードバックを元に改善し続けます!